小夏の大冒険

ちよつとした違和感から世界の秘密へ思考は冒険する

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夜の樹

突然、脳裏に浮かんだイミフな言葉が、実は意味のある言葉だと知ってちょっと驚いたことがある。

それは21世紀になって間もないある日のこと。2002年か、2003年か、そのぐらいか。
もう季節も曜日も覚えていないが、昼間、部屋にいる時だったから休日だったかも。

ふっと、"ユグドラシル"なる単語が思い浮かんだ。

え?

え? え? 何語よ、それ。ニキビの薬か? それはクレアラシル。
何もないところから突然降りてきた、これは天からのメッセージか。
数日間は頭の中が???な状態だったが、当時既にパソコンを使っていたので、まずは検索してみようと思い立った。

で、検索してみると、「~との一致はありません」と出てくるとばかり思っていたのに、予想外にヒットがあったのだった。

ユグドラシル、それは、北欧神話に出てくる世界樹のことらしい。
宇宙を1本の樹とみなして、神の世界やら人間達の世界やら死者の世界やらを、その樹がつないでいるそうだ。
なるほどその考え方はわからなくもないが、世界はやっぱり木ではなく、地球という球体なんじゃないか?

当時あたしは北欧神話には全く疎い人間だった。今も詳しいわけじゃないけど。
突然脳裏に浮かぶ前に、どこかでこの単語を目にしていたことは、恐らくない。

ギリシャ神話なら子供の頃から親しんでいたけど、北欧はねえ。わざとスルーしていたところがある。
せっかくギリシャ神話の世界観を覚えたところへ、別の神話が入ってくるとゴチャゴチャになりそうで。
でもこの単語を調べたついでに、北欧神話とはどういうものかも大雑把にでも把握しておこうと思い、少しばかりそれ関係の本も読んでみた。

でもやっぱりかなりの部分で???だった。
アースガルドだのミッドガルドだの英語ともドイツ語ともつかない見慣れない単語がいっぱい出てきた。
例えばギリシャ神話のゼウスならローマ神話ではジュピターとか、そのまま当てはまるけど、北欧神話のオーディンは全く別のもののようだ。北欧神話の神々は独自の存在でギリシャ・ローマ神話には対応しないのがとても難しく感じた。
登場人(神?)物もそうなら、それらが繰り広げるエピソードの数々も何だか起承転結がはっきりしない上に、ある話があってそれとは別な話が複数ある、はずなのに、それぞれの境界が曖昧な印象。
何だか、ひとりの頭が電波な人の考えた妄想、みたいな印象を受けた。

このあたり、例えばファンタジーというジャンルがあるけど、ああいうのが好きな人はすんなり入り込めているのかも。
現在世に出回っているゲームの数々も、実はこっち系の世界観を下敷きにしたものが多々ありそう。ゲームは全くやらないのでよくわかんないけど。

とりあえずイミフな単語を調べて、意味はわかった。その語の出典もわかった。
しかしそれであたしにどうしろというのだろう。天からのメッセージは。
世界樹という概念を使って、世の中に貢献しろとでも言うのか。どうやって???
わからないまま、現在に至る。

ところであたしは幽霊とかは見たことがない。虫の知らせはあっても、霊感は全くない人間だ。
そんなあたしの唯一の神秘体験と言えば神秘体験なのが、これということになるんだろうか。


「世界樹」と言われて真っ先にイメージした小説が、下記↓。カポーティの『夜の樹』。
文庫版でもこの話を表題作とした本が出てるようですね。
以前読んだのはやっぱり新潮文庫だったと思うが、『ティファニーで朝メシを』を表題とした本の後ろに数編くっつけられた短編のひとつとして載ってただけだったが。

しかしあたしならこのストーリーに『夜の樹』というタイトルはつけない、つけることができなかっただろう。
カポーティ並みのセンスは持ち合わせていない。持ち合わせたくもない。感性を鼻にかけるほどキモいことはない。
「ミもフタもない」と言われるのが、あたしには最高の褒め言葉だ。

じゃ、何とつけるか。
それはもちろん、

『列車の中の迷惑な人達』と。

列車の中のような不特定多数が集まる閉ざされた場所で、ふと言葉を交わした人を避けたいと思うんだけど、避けられない。そんな状況になることって、結構今でもありませんか?


夜の樹 (新潮文庫)
夜の樹 (新潮文庫)

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