小夏の大冒険

ちよつとした違和感から世界の秘密へ思考は冒険する

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苦痛だった本

『たんぽぽのお酒』(レイ・ブラッドベリ)


ブラッドベリは好きな人はすごく好きだと思うので、こんなこと書くとまた反発喰らうかなと思いつつも。

根強いファンが多い作家ということで、読む前(30年ほど前ですが)から気になっていた。
ただ何となくとっつきにくいと感じたのは、この作家がSF作家なのかそうでないのかはっきりしない感じがしたところだ。
「ロケット」とかSFっぽい単語をタイトルに使ったりもしてるけど、中身はそうでもなさそうだったりして。


数ある著作の中でどれを読んでみようか考えた際、これを選んだのは、タイトルがこの人の作品の中では一番「SFっぽくない」からだった。

SFだとするとお決まりの「機械文明がバラ色の未来をもたらす」みたいな内容だったらついてけねーわと思ったので。


で、読み始めたが──

こーゆータイトルだから当然、たんぽぽのお酒に関する話かと思うじゃんよ。
自分ちで作る、日本で言うと梅酒みたいなものか。
確かに酒はチラッと出てくるが、大部分はどうということのない日常のエピソードで占められている。
おい、酒はどうした、と気になって仕方ない。

だいたい、「主人公は12歳の少年で…」てところで、ダメじゃん、とつっこまずにいられなかったのだが…
未成年に酒の話はご法度だろーがよ。

結局どうにか読み切ったが、ずっとストーリーがちっとも酒そのものにからんでこなくて、なぜ作者はこのタイトルをつけたのかわからなくてずっと苦痛だった。
今はもう、あるひとつのエピソードを除いては、話の内容も全然覚えてない。


その、「あるひとつのエピソード」とは──?

実はそこが唯一、しかもすごーく感動した話なのだけど──

実はけなしているようで称賛している(その逆もあり)のがあたしの書評? だったりする。
途中まで読んで、ああ、けなしてるんだと放り出すとまちがいの元です。

どんな内容だったか。
たしかこんなだ。
(ネタバレ注意)


おばあちゃんの料理はとてもおいしいけど、作っているキッチンは使い勝手がいいとはとても言えない。
古くて、調味料もバラバラに散乱していて…。

そこでキッチンをリフォームしてあげた。
調理台もコンロもきちんとして、調味料も並べ直して…

で、新しくなったキッチンでおばあちゃんに喜んでもらって、また料理を作ってもらった。

そしたらこれがなぜか、前ほどおいしくない。
どう考えてもキッチンは使いやすくなったはずなのに…
おばあちゃんだってリフォームを感謝してくれてるのに…


ウン、そういうことってあるある──

おばあちゃんの体、というか無意識というか、は、
やっぱり前の不便なキッチンの方が心地良かったのだ。

なんでも効率を追求すりゃいいってもんじゃないでしょ。というお話。


昨今の一般的な企業というか働く人々全般というか、は、とにかく効率効率でぎゅうぎゅうに締め上げ続けてきている印象がある。
それが皮肉なことに仕事やサービス全般の出来を却って悪くしてはいないだろうか。
単位時間内にどれだけ多量の仕事をこなすことができたか、という物差しだけで業績を測るとバチがあたるぞ。


たんぽぽのお酒 (ベスト版文学のおくりもの)
たんぽぽのお酒 (ベスト版文学のおくりもの)



よく、こっちが何らかの仕事を四苦八苦しながらやりづらそうにこなしている時、ハタから「こっちの方法でやればいいじゃない」みたいに口を出され、別なやりやすい方法を提示されることがある。
その言葉がたとえ真実であっても、あたしはそんな時反感を覚えてしまう。

あたしは今までの方法でそれを成功させたいんだ、
意地でもその(新しく提示された)方法ではやるもんか、と思ってしまう。

そういうことってあるよね── ない?

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